おじさんシネマ(あぜ道のダンディ)

あぜ道のダンディ
なんともしがないおじさんたちの話。
どういうのだろう。
虚勢を張って生きている50歳の姿を通してちょっとだけ笑えて、けっこううるっとくる。
この映画。
面白いと思うか拒絶してしまうか。
両極端に分かれてしまいそう。
面白い。
そう思ったのは僕。
宮田と真田。
中学校からの親友。
いつもふたりは自転車であぜ道を走っている。
宮田は妻に先立たれ、こどもふたりを育ててきた。
真田は妻に逃げられ、7年間父親の介護を続け、亡くなった父親の遺産で生きている。
そんなふたり。
宮田に人生の転機が訪れていた。
50歳。
息子と娘が同時に東京の大学に進学することになったのだ。
子供たちと会話もなくうまくコミュニケーションがとれない宮田。
長男は、対戦型ゲームに夢中。
長女は、プリクラ。
宮田はそれさえも理解できない。
仕事から帰ると妻の遺影の前で缶ビールを飲みながら・・・・・。
この姿は、よく語られる男親の姿をそのままデフォルメしたもの。
周りからどんな見方をされたとしても、男は格好よくなくてはならない。
ダンディな男になりたい。
宮田と真田はいつも居酒屋で語り合うのだ。
真田が父親の介護の褒美として自分に買った帽子。
ダンディな男の象徴みたいにこの映画では扱われている。
画像

胃に異常を覚えた宮田。
自分を胃がんだと思い込み、余命尽きる前になんとか子供たちとコミュニケーションをとらなくではと真田と相談し奮闘するというもの。
対戦ゲーム機を買って長男と対戦しようとしたら、機種がちがって対戦ができなかったり。
どこかちぐはぐ。
こういうことはよくあること。
電気屋の店員に聞けば済むことなのだが。
そんなことはしない。
こどもたちふたりが東京へ出ていく。
ひとりきりになってしまう。
そして、自分の余命はいくばくか。
へたくそな「自分芝居」とでもいうのだろうか?
虚勢を張り続ける男たちなのだ。
こういった不器用な親父像はよく描かれているものなので、特段目新しいものではない。
それをごり押しするかのような描き方。
気付けばけっこううなずいて観ているのにびっくり。
きっと観客は、ゆるいテンポの話をゆるい画像を見ながら、何の警戒心もなく観ているにちがいない。
石井裕也監督はこういった描き方はうまいと思う。
前作「川の底からこんにちは」でも女の子とおばさんのギャップを描いていたし。
ぎくしゃくした関係のなかで出来上がった信頼みたいなものをラストに用意する。
ここで観客は・・・・・。
けっこうほろりとくるのだ。
この映画でも、後半真田が子供たちに近づいて遊園地に行ったりして仮想親子のようなことをして子供たちと会話をする。
そこで聞き出した子供たちの想いを宮田に伝える。
子供たちは宮田を感謝し、子供たちなりに考えていた。
東京の自分たちのアパートも兄妹で話し合い「親父に負担をかけないように、心配しないように・・・・。」。
あれ?
けっこう観客はすすり泣いてる。
いけてる。
へんてこな映画。
デフォルメされた中年男像。
これって子供たちの目線の親父なのだろう。
親父たち、僕らはそんな無理して会話をしなくてもわかっているからと。
自分の父親に対する記憶。
自分の子供たちを送り出した時の記憶。
こんな単純な映画のなかに自分もすっぽりといた。
うまくはまってしまった。
見栄ばかりの親父たちの姿に。








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