おじさんシネマ(ブタがいた教室)

2009年も映画は楽しい。
一番の娯楽。
ごちゃごちゃ言わずに楽しい映画を観にいきたい。
今年最初に観る映画はなんだろう?
映画案内をネットで検索してみると。
いまのところチェックしているのが、「チェ」二部作?
でも、正月が終わったばかり。
何かこってりしたものはちょっと避けたい。
次に目についたのがたまたま1月10日が熊本では初日となったこの映画だった。

ブタがいた教室

ある小学校6年2組。
始業式まもなく担任の星先生が子豚を連れてやってきた。
子供たちに「この豚を飼って卒業するときに食べてみよう。」と提案する。
そこから一年間豚と子供たちと学校・親まで巻き込んだ「命」についての授業が始まった。
食べるということはそのものの命を奪うということだとわかっていてもいつも自分たちの近くにいて世話をし続けたものに感情移入してゆく子供たち。
豚に「Pちゃん」と名前をつけてかわいがる。
子供たちは食べるはずの豚にペットとしての感情を持ち始める。
いやペット以上友だちだったり支えだったり。
Pちゃんはさまざまな形で子供たちに関わっていくことになる。
星先生はそんな子供たちを見守っていくのだが、子供たちの自主性に任せていくのだ。
Pちゃんとの触れ合いは楽しいことばかり。
それは二学期までだった。
卒業式が迫る三学期。
6年2組はPちゃんをこのあとどうするか結論を出さなければならないという現実に直面するのだ。
結局、クラスは二分される。
「Pちゃんの世話を引き継いでくれるという3年生にお願いする。」
「あくまでも自分たちの責任なのだから食肉センターに送る。」
卒業式が迫る中、子供たちの葛藤が延々と続くのだ。
この映画。
どんな俳優たちも動物と子供たちにはかなわないという見本のような映画。
豚が特にかわいい。
こんな豚が目の前にいたら、僕自身殺して食べようなんていえなくなってしまうに決まっている。
表情豊かにカメラがとらえている。
観るものに豚のやさしさがよく伝わってくる。
子供たちとサッカーをしたり教室へ向かって歩く姿は本当にかわいい。
あとは、子供たち。
どうも、台本には子供たちのせりふはほとんど用意されてなかったようだ。
それゆえにPちゃんとのふれあいの場面などは生の演技だったようだ。
子供たちは映画と同じく1年間Pちゃんの世話に通ったようだ。
特に、クラスで最後の結論へ向けての議論を重ねるシーンは妙な迫力があってすごい。
あくまでも子供たちの議論なのだが、的を得ていても外れていても必死に「Pちゃんに生きていてもらいたい」「僕らが見届けてやらなくてはならない。」訴え続ける子供たちの姿。
気がつけば、大人の僕が頭のなかで「おいおいそんなんじゃ。」「なんでそうなるんじゃ。」と議論に加わっている。
おかしい。
こんな議論したことがないここのところ。
たかが豚の行く末など。
そこがこの映画のすごいところだ。
子供たちのPちゃんに対する姿は、演技を抜けている。
演出の冥利につきるだろう。
もともと僕も牛などの家畜とともに育ってきたので、家畜とペットとの区別はつくつもりだ。
自分が子供のころ、世話をしてきた子牛が売られていく日にはこの子供たちと同じ感情を抱いた記憶がある。
ぽっかりと空いた牛小屋にその子牛の姿を探していたりした。
ペットも犬や猫たちと過ごしてきた。
今はそういったものを飼うことはしていないが、ペットにしても家畜にしても自分たちよりも短い命。
飼う人間がその動物たちの最後に責任をもたなければならないんであろう。
この映画のなかで親たちがクレームをつけるシーンがある。
「怪我させられたらどうする?」
「こんなことを勉強させるために学校にやっているんではない。」
まあ、月並みな描き方だが、実はここらあたりが親と学校と子供たちのギャップ。
本当は、命というもの。
食というもの。
共同作業。
友情。
そんないろんな要素を丁寧に描いて好感がもてる。
また、子供たちに生の言葉や行動を引き出させた分、大人が書いたおしつけがましい台詞回しがぐっと抑えられている。
豚のPちゃんの命を観客としての僕らはどう考えたんだろうか?
映画のラストはPちゃんの行く末を結論づける。
しかし、この6年2組の子供たちがこれから向かう中学校でどう生きてゆくのかはこれからの物語。
そのなかにPちゃんは生きていくのだろうか?
ある種の迫力を持ったこの映画は凄い!と思った。

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この記事へのコメント

2009年01月12日 21:33
ウチは、Ohanaちゃんを飼う時、まだ中学生だった娘と命を与る事の重要さを話した記憶があります。可愛いだけでは済まないこと、短い命だということの自覚など・・・。
Ohanaが家に来て5年、後何年かするともう一度考えなければいけない時期がやってくるんですね。
ペットは、一緒に暮らすだけで、色んなことを教えてくれます。
2009年01月13日 00:11
そうですね。
今の異常なまでのペット産業にのせられている部分もあって、本当にあれでいいのかと思ったりします。
一緒に生きていくペットに寄せる飼い主の気持を商売に結び付けて。
どう説明していいのかわからないけれど、どこか本質をはずれてしまっているのではと思う部分もあります。
でも、それを含めて家族みんなとOhanaちゃんとじっくり考えてみてくださいね。
わ。
説教臭い(汗)

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