おじさんシネマ(善き人のためのソナタ)

ドイツ映画がすごい。
ここのところ、公開されるドイツ映画に胸を撃ちぬかれている。
ここにまたひとつ大切な映画に出会ったようだ。
しばらくドイツ映画に注目してみよう。
 「善き人のためのソナタ」 
東西ベルリンの壁崩壊をはさんだドラマ。
東ドイツでは、その管理国家を維持するため、シュタージュという秘密警察が、人々を監視し続けていた。
そのひとつが盗聴。
この映画には、事細かに盗聴器が仕掛けられるシーンが登場する。
日本でも盗聴器の話をよく聞くが。
ぞっとするシーンでもある。
劇作家ドライマンとその恋人クリスタを盗聴することになったヴィースラー大尉。
彼は、このふたりのすむアパートの屋根裏に隠れて、彼らの一部始終を盗聴。
国家にその情報を流す任務につく。
やがて、彼らの情熱や愛や自由に突き動かされるもの。
本であり、音楽であり、愛の語らいであり・・・・。
この映画にはいろんなプロットが仕掛けられていて、ラストのスリリングな展開につながってゆく。
ドライマンとクリスタの人間的な関係。
ヴィースラーの無機質なくらしの対比。
そんな展開のなか。
シュタージュにより、創作活動を剥奪されている演出家のイェルスカが、楽譜「善き人のためのソナタ」を手渡す。
「この曲を本気で聴いたものは悪人になれない。」
そういい残し、絶望からイェルスカは自殺する。
ドライマンたちは、東ドイツでの文化人たちの自殺率の高さを西側に流そうとする。
ドライマンの部屋が盗聴されていることも知らずに・・・・。
ここから、ストーリーはサスペンスタッチになって。
ヴィースラーのヘッドホンを通じて彼らのたくらみは筒抜けになってゆく。
しかし、ヴィースラーは少しずつ彼らの行為を黙認するようになる。
ベルリンの壁崩壊まで5年。
少しだけ壊れだした東ドイツ社会の一面なのかもしれない。
盗聴は卑劣な行為だが、この映画は、それをバックに素晴らしい人間ドラマに仕上げていて感服した。
陽のあたる場所を歩く人間。
きちんと名を持たないが、その彼らを支える人間。
そんな関係に見えない形の友情や恋愛もかすかに含め。
ベルリンの壁崩壊後のヴィースラーとドライマンの関係に大きく涙した。
それにしても、この映画は素晴らしいシーンが満載である。
特に、ヴィースラーが屋根裏にドライマンたちの部屋割りを描いて、ドライマンたちと同化してゆくシーン。
イェルスカの死を悲しみ、ドライマンが初めてピアノで弾く「善き人のためのソナタ」・・・。
それをヘッドホンで聴き涙するヴィースラー。
クリスタを尋問することになり、(実は一度、彼らはバーで顔を合わせている。)自分が味方であることに気づかせたくてヴィースラーが「「あなたのファンだ。」と何度も告げるシーン。
そして、ラスト・・・・。
ドライマンは、自分たちが東ドイツで何の処罰もないままだったことに気づくのだが・・・・。
ほんとに短すぎるエンドロール。
僕の涙はかわききれなかった。
と、妻が言う。
「やっぱり、男のドラマ。そこまで泣けないわよ。」
いいんだ。
男だって男の感情で泣けるんだから。

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この記事へのコメント

あ~あ
2011年09月17日 19:50
先日DVDでこの映画をやっと観ました。
もう4年も前の映画になってしまったことに驚いています。
宙虫さんのブログで紹介されていたことを思い出し、ずいぶん久しぶりのコメントをさせていただきます。
英語ではなく、ドイツ語の響きが本当に良かった。ラストでは・・一筋の涙が流れました。
~に捧ぐ、よく色々な書物や映画で目にしてきましたが、こういうことなんだよなぁ・・としみじみと感じ入った作品でした。
2011年09月20日 00:05
参考になって良かったです。
日本人の心にはこういったヨーロッパの映画みたいな余韻がぴったりくると思います。
あ~あさん、いい映画にどんどん出会えるといいですね。

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