おじさんシネマ(麦の穂をゆらす風)

キネマ旬報のベスト10が発表された。
去年は、硫黄島の2作が独占していたみたいだけど。
もうひとつ、戦争の悲惨さを描いて、そして、内戦の実態を描いた映画。
5位にはいっている。
「麦の穂をゆらす風」アイルランド紛争を描いたこの映画。
胸を深くえぐる。
いったい何をもたらしたのか・・・・。
どこで折り合いをつければいいのか?
今、世界のあちこちでおきている内戦に通じるものがある。
物語は、デミアンと兄テディの兄弟を中心に描かれてゆく。
複雑なアイルランドの歴史。
そして、イギリスから独立を手に入れるまでの物語。
デミアンは、ロンドンで医師として採用されることが決まっていたが。
アイルランドを占領していたイギリス軍の暴力行為に、アイルランドに残って、イギリス軍と戦う道を選び、IRAに参加してゆく。
IRAに参加してからの映像は目を覆うばかりのシーンが続々映し出される。
しかし、彼らには、友情であり、アイルランドの貧しい人々の解放であり、目指すものがあって。
苦難を乗り越えてゆく。
しかし、その戦いには常に不協和音がつきまとう。
武器を手に入れるため、手段を選ばない彼ら。
戦争なのだから当たり前だが。
武器の存在は、そこに話し合いは存在しない。
常に誰かに銃口を向け、自分たちの目指すものを主張するのだから。
やがて、イギリスはIRAなどの抵抗に、軍を撤退して、共和国と講和条約を結ぶことになるが。
本当の悲劇はまだ続く。
イギリスは、アイルランドをイギリスの自治領として、国王の権限を残したままのものだった。
そかも、北アイルランドは分断されることになったのだ。
撤退したイギリス軍ではなく、今度は、この条約賛成派と反対派の内戦が始まってしまった。
ここまで、一緒に戦ってきたデミアンとテディは、反対派と賛成派と別れて戦うことになってしまう。
そして、この映画の最大の悲劇へと・・・・。
人間はなぜ、殺しあうのか・・・・。
簡単に結論など出せない。
そこには、国を愛する気持ちがあって。
民族というものがあって。
自分たちの培ってきたものがあって。
日本人の我々にとっては、そういう論争のなかに常に銃口がひかっている世界は想像も及ばない。
イラクやアフガニスタンも結局は、内戦状態なわけで。
いったい誰が火をつけたのだろう。
そして、誰がそれに油を注いだのだろう。
そんなことが脳裏をかけめぐる。
この映画は、深く訴えかける。
戦争というものの真実を。
特に、武器の存在の恐ろしさを・・・・・。
涙でぐしょぐしょになった僕は、あっけないエンドロールに涙を拭く暇もなかった。
映画としても、素晴らしい。
登場人物がきちんと描かれているし、風景も素晴らしい。
それがゆえにかなしずぎる戦いなのである・・・。
またしても、すごい映画に出会った。

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  • 「麦の穂をゆらす風」一線を越えるとき

    Excerpt: 「麦の穂をゆらす風」 監督:ケン・ローチ出演:キリアン・マーフィ、ポーリック・デラニー、リーアム・カニンガム、オーラ・フィッツジェラルドIRA(アイルランド共和軍)の歴史は複雑だ。 アイルランド独立戦.. Weblog: 再出発日記 racked: 2007-03-09 17:37
  • 麦の穂をゆらす風

    Excerpt: 2006年 アイルランド・イギリス・他 2006年11月公開 評価:★★★★★ Weblog: 銀の森のゴブリン racked: 2007-05-26 23:44