おじさんの一部かも(失踪日記)

ふらりと立ち寄った書店で、手にとった一冊。
もともと本は、最近は立ち読みで済ませていることが多くて。
(もっと読まなくてはいけないのかも・・・。)
ただ、ぽっかりとあいた時間があって、時間つぶしにでもと思ったしだい。
「失踪日記」吾妻ひでお
全部実話です(笑)の文字が表紙で踊っている。
なんのことはない、漫画家(僕らの世代にはけっこう人気の漫画家)である作者が、仕事も家庭もほっぽりだして、失踪。
ホームレスとなっていく過程を淡々と描いている漫画。
すごい悲惨なことなのに、自虐的であるけれど、さらりと描いてあって、おもしろい。
ホームレスになじんでゆく過程は人さまざまなんだろうけれど。
ある種、こういう糸が切れた状態はよくわかる。
ちょっとたばこを買いに・・・・。
そのまま、失踪してしまう。
僕にもあった。
ただ、自転車で5分のところを半日とか・・・。
でも、帰ってきたからよしなんだろう。
吾妻ひでおの場合、結局、警察に世話になった時点で、家族からの捜索願が出ていることで、家に帰ることになるのだが。
失踪してからのホームレスのくらし。
二度目の失踪の配管工の仕事。
そして、アル中治療の話。。。。などなど。
おもしろい。
余計な感情をいれていないので、ある意味客観的に読める漫画である。
こういうとき、今はやりの劇画調の漫画ではないのが救いになる。
もともと彼は、ギャグ漫画家(?)のような作品を描いてきたので、その軽快さはさすが。
ただ、そのギャグがマニアックだったのだが。(すべり気味ってこと。)
そして、さらにデフォルメの効いた絵がいいのだ。
この「失踪日記」の場合。
全体を通して、「漫画家残酷日記」となっている。
漫画家自身のおかれている立場にある意味、同情する。

この本には、隠れた文章がある。
表紙カバーのうらに「裏失踪日記」というのがあって。
シークレットインタビューがのっている。
その文中、こういうくだりがある。

家を出る時は、「ある日突然不安に襲われて」っていう感じなんですか?

徐々にですね。物描きはみんなそうなんだと思うんですけど、自己模倣をやっていることに気がつくと限りなく落ち込んでくるんですよ。特にギャグマンガは、前と同じことをやってもウケないから。だから、逆にマンネリを恐れない”永遠のパターン”を持っている人は強いですね。そのマンネリがたまらなく気持ちいいっていう読者もいるから。でも、常に新しいギャグを考えようとすると、だんだん精神が病んでくる。描いてて「あ、これ前にも描いた」って思い出す。そうすると描けなくなっちゃう。でも、締め切りは来るから、「あー、もうイヤダー」ってなる。・・・・・・

このくだりは、なんだかよくわかる。
僕の場合は、俳句の話で、そこに生活がかかっているわけではないし。
締め切りはあっても、すっとばしてかまわないから。
そこから先はないのだが。
こういう仕事をしている人たち、みんなこの壁があるんだろうなと思う。
第一線でいることのつらさがわかる。
そして、この僕も、ただ今、その自己模倣のどつぼにはまっているのである。
どっぷりと。

本日の日記には無断転載部分があります。
もし、不適切でしたら、是非、声をかけてください。
お待ちしています。(誰にいっているんだろうね・・・。)
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この記事へのコメント

あ~あ
2006年07月09日 15:46
3つ前のお話の
【どうせ最後は仕事があるから家に帰らざるをえない】というのも印象的でした。
飛び出したはいいけれど 他に行く所なく
会社駐車所で一泊して家に帰る・・人も多いなか。 


宙虫
2006年07月09日 20:43
あ~あさん、まさにそのとおりです。
日曜日などは、月曜日がこなければいいのにと。
起きていれば、眠らなければ、明日は来ないと思って、夜更かししたりしたことあります。
でも、やってくるのです。
仕事をしなければならない月曜日。
やっぱり、仕事があるから眠ってしまいます。
家とはそういうものなんでしょう。きっと。
あ~あ
2006年07月10日 10:51
家族がいるから 家にかえるのか
仕事があるから 家にかえるのか
その人が抱える 心の中の闇はそれぞれ・・
宙虫
2006年07月11日 00:22
きっと布団がいるんです。
僕らの生活には。
とうとう帰ってこない人は、なにがしかの布団を別のところに見出したからなのかもしれません。
もう、僕も起きているのは限界です。
あ~あ
2006年07月11日 23:03
なにがしかの布団を別のところでみつける。
怖い・・くらいの 人の性サガ 
ふと思い出して 田山花袋【蒲団】
文庫本は 茶色く変色しておりました。
宙虫
2006年07月11日 23:57
田山花袋・・・・。
読んだ気がするんだけど。
思い出せないです。
あたたかいやわらかい蒲団であればいいけれど。
茶色い文庫本はいっぱいありますが、二度と開くことはないものが多いですね・・・。
あ~あ
2006年09月03日 16:21
さっき朝日新聞朝刊読んでたら吾妻ひでおさんの【うつうつひでお日記】 広告を見つけました。なんだか宙虫さんにお報せしなくてはいけないような気持ちになりまして(笑)すでに15万部売れているそうです。本日9月3日です。
2006年09月06日 23:57
そうなんですよね。
なぜか売れてるみたいですよ。
って僕みたいな読者がいるから。
僕も実は狙っています。
俳句でもらった図書カードで買おうかなっと。
別冊編集人
2008年05月25日 20:16
TBにコメントも恐縮です!

吾妻ひでおさんは私の世代ではギリギリになるのかな…
絵の展開からそういう悩みを抱える漫画家ではないように思ってました。
アル中になる可能性というのは誰にでもあるのですね…

http://syachou.exblog.jp

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