おじさん(Age.61)日記By宙虫

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zoom RSS おじさんはなんとか読んでいる(7)

<<   作成日時 : 2014/01/16 22:50   >>

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麦12月号

「踏生脚光」

 年々夏は長くなってきている。今年の夏の暑さは記録をあちこちで作った。毎日、日本中が三十度を記録したのだから。
 しかし、これは地球温暖化やヒートアイランド現象などのものであれば、来年以降も記録は作られ続けるのではないかと思う。人間はここを乗り切ることができるだろうか?
 今、これを書いているのが十一月。立冬がやってきた。暦のうえでは冬。もう、夏の記憶は遠くへ行ったような気になっている。
 しかし、まためぐりくるであろう次の季節。私たちはどのような夏を経験することになるのか。
 私たちが眺める海も山も。同じ顔をして私たちの目の前にいてくれるだろうか。人間たちのしてきたことの後始末。私たちは真剣に考えなくてはならない時代が来たのだ。踏生集の中に今年の夏を探してみた。

掌紋に乱れ暑さの澱む夜     橋爪鶴麿

 毎年、異常気象。異常気象もこう連呼されると異常ではなくて平常なのではと感じてしまうほどだ。特に夏がこれほど暑い季節になるとは。盆を過ぎ、ひぐらしを聞きながら、夏の盛りを過ぎた空気を感じる。そして、日暮れへと。これが挽夏の感覚。子供の頃の記憶にあるこの感覚もいつしか乏しくなり、連日の残暑どころではない残暑にうんざりとしている。今年もまたさらに暑かった夏。何もかも融けてしまうのではないかと思う夜。この句を目にして気づいた。鏡を使わず直接目にすることができる体の部位が掌だと。その掌紋が乱れる。これも暑さのせい。暑さばかりが目の前にあって、そのほかは見えない夜。自分が掌から融けているような感覚。時代の澱みのなかに自分も融け込んでいきそうな夜。もう秋は来ないのではないか。少年時代に経験した晩夏はやってきそうにないと思いながらいくつの夜を過ごしたのだろう。

犬も老いどたり僅かな片陰に   中村里子 

この夏の暑さは生きているものにとってとんでもない暑さだったはず。地球温暖化という言葉がだんだんと具現化されるようになってきた。どこまで夏は暑くなっていくのか。日本のあちこちで四〇度を超えるときがやってくるのだろう。動物も植物も同じ温暖化が進む地球に生きている。しかし、彼らにしてみればこの温暖化は人間が招いたもの。文明というものを手にして好き勝手に地球を扱ってきた人間たちと生きて行かなくてはならない彼ら。とりわけペットである犬は人げたちと寄り添って生きている。老いてゆく飼い主とともに老いる。もはや暑さをしのげる場所とはいえない片陰でのびている姿。どうにもできない現実。この夏の暑さゆえ「どたり」と表現された老犬の姿を微笑ましいとは思えないのは僕だけだろうか。

砂時計さらさら溽暑の砂落とす    加賀谷已左男 

暑さにも色々な呼び名がある。今年のように暑すぎるとその暑さの区別もつかない。毎朝の目覚めはため息から。「今日も一日暑いんだろうな。」と。通勤の駅のホームに立った時点で汗だくになっているのが辛い。その繰り返しだった。私の住む熊本は湿気の多いところで有名。盆地と似た気候で夏の暑さは有名。気温プラス湿気で体感温度は三度ほど高く感じる。こういう時、日差しを避けようと木陰にはいっても空気は湿気を含んでいる。汗をかきながら、この汗は自分の汗なのか空気中の湿気なのかわからない。初夏から初秋までこの暑さが続くのが熊本。そう思っていたら、今年は空梅雨。意外にからっとした気候が続いた。それとも、ここで過ごしてきた自分の体が慣れてしまったのか。何度もひっくり返す砂時計。一分計や三分計など短時間であるが、この蒸し暑い日の砂時計は落ちるのに時間がかかっているように感じる。さらさらと落ちる砂。砂時計のなかは湿気はないのだが。内と外。見ている者の気持ちものせて砂は落ちる。

白南風や手帳に頼る記憶力    大石壽美

 思い出せない。昨日の食事。昨日見た映画のタイトル。どこを歩いたか。思い出せないとそのまま出て来ない記憶。南風の吹く日、なおさら出てこない。ひとの脳は気温が三〇度を超える状態では機能しない。実際、事務室ではスーパークールビズ。ノーネクタイ、半袖ポロシャツOK、室温二八度設定とはいても・・・。この気温はデスクワークの人間にとってボーダーラインのようで。さっき覚えていたことも忘れてしまう。大事なこともあったかもしれないが思い出せない。そんな時、ぱらぱらとめくる手帳のなかに思い出せないものが書かれている。手帳だから簡単なメモ書きに過ぎないけれど。そこから記憶がつながっていく。完璧に思い出せているわけではないだろうが、手帳の記録は「忘れる」という小さな恐怖を少しでも払いのけてくれる。夏本番に向かい手帳がつないでくれる記憶にほっとする。昨日会った人のこと。先週買った本のこと。自分の足跡でもある。

夏の波我足跡の浅きこと     岡崎久子

 夏。海に出かける。当たり前のことのように思っていたが、考えてみるとここ何年もまともに夏の海に行っていない。小さな子供がいないこともあり海水浴に行くことがないからだ。海水浴に行くのに車の渋滞や行った先の人ごみなどを考えると二の足を踏んでしまう。ただでさえ盛夏。暑い。そういえば海水浴に出かける人たちも年々減ってきているとニュースで言っていた。きらきらとまぶしい夏の波。砂浜に残した自分の足跡。あっさりと消してゆく。もっと深く足跡を残せたら。夏の海が広がる中、自分の生きざまに「あと一歩がんばれば」と前を向く。波が返す度に自分の足跡は見えなくなるが、今度歩くときはもっと深い足跡をつけようと願う。

夏の海まずは空っぽになりたくて 東 圭子

 毎日の些事でうんざりする。同じ場所にいればいるほど考えることが多すぎる。こういう時にどこかへ行きたい。そうだ。夏の海。目的は。空っぽになりたい。誰もがこういう瞬間を経験している。これまでの人生のどこかで経験していることなのだろう。だから、海に行けば空っぽになれると思っている。そう信じている。この国は島国。よその国へは簡単に出ていけない。空っぽになれば、まだこの島国で生きてゆける。だから空っぽになりたい。


前月の「踏生脚光」はこちら
http://musinandanikki.at.webry.info/201312/article_8.html




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http://musinandanikki.at.webry.info/201312/article_9.html




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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
宙虫さん、肩の痛みも徐々によくなってきていっらっしゃるようで、よかったですね。
なにしろ、パソコンを使うことが多いでしょうからね。「踏生脚光」ありがとうございます。
読みごたえありの一文。楽しみにしています。
餡子
2014/01/18 09:14
ありがとうございます。ちょっと腕の痛みに負けてさぼってました。がんばります。腕はなんとか回復。通常生活できそうです。
宙虫
2014/01/18 11:13

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