おじさん(Age.52)日記By宙虫

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<<   作成日時 : 2008/03/23 22:49   >>

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潜水服は蝶の夢を見る
20万回の瞬きで自伝を綴った・・・・。
このキャッチフレーズがずっと気になっていた。
脳梗塞からロックトインシンドローム(閉じこもり症候群)に陥ったジャンが唯一動く左目を使って自伝を書き上げるという話である。
ロッコトインシンドロームなどという病気は聞いたこともなくて、少々びっくり。
つまりこの症状は、意識はしっかりしているけれど、動くことやしゃべることもできない状態。
そしてこれが実話。
植物人間の一歩手前という状態なのだ。
ドラマは、ジャンの左目から見える景色が中心になって進んでゆく。
彼の左目が動くことに気づいた言語指導員が編み出したのが、左目の開け閉めで意思を確認することだった。
最初は、イエス・ノーから始め・・・。
ついにアルファベットを読み上げ、その該当の文字で目を閉じる。
それを書き取って、言葉にするというものだった。
アルファベットを最初から読み上げて、一文字。
また最初から読み上げて、一文字。
考えただけで頭が痛くなる作業。
ぺらぺらと喋れる口を持っている僕らには想像できない労力を要するのだ。
一秒とかからない単語を一分とか二分とかで作り上げなくてはならない作業だ。
ここまで書くとそれはすごい重いテーマの映画なのではと思ってしまうが。
どちらかというと生きる、生きることができる人間たちへの讃歌。
こういう言葉が合うような気がする。
ジャンの目線がとらえるのは、いつも彼を世話する女性たちの胸元が太もも。
つまり、からだがぴんぴんしていた頃となんらかわらない。
だから、コミュニケーションをとる方法が見つかれば・・・。
きっとなんら変わらない思考をする自分がいるわけで。
父との確執。
こういう状態になって初めてかわせる言葉。
こういう状態なのに、元妻が愛人に彼の言葉を読み取って伝えるシーンだの。
まあ、次々生臭い人間が描かれている。
彼が言葉を発することができるのは、そこに彼の言葉を通訳する人間がいてできるものなのだ。
生きることの意味。
自分のいるべき場所がどこなのだろう?
つい考えてしまう。
動けないからだでも夢を見る。
その夢は、潜水服の夢。
波に囲まれている夢。
映像が実によくできている。
ところどころ笑いながら。
切なくなりながら。
小さな彼の目線がとらえた世界とその瞬きでつむぎだした言葉がじわじわと観るもののなかに入り込んでくるような。
感動がすごくて、泣いた・・・・。
という映画ではない。
僕はエンディング寸前まで涙は出なかった。
と思った瞬間・・・・。
エンドロール。
映画の冒頭で登場した氷山が崩れる画像が逆回しで映し出される。
そこに流れる音楽。
なんだかわからないけれど。
大泣きしてしまった。
ほんとうにわけのわからない涙だ。
映像になんの意味があるのか。
深いことは考えない。
生きることをあきらめる必要はない。
どうにか生きていれば。
自分のできる範囲で人生は終わる。
少しだけでも、いい夢を見ることができるんじゃないかと。
そう思いながら。
映画館をあとにした。

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